【元国語教師が伝授】「知っているけど使えない」を脱出!語彙力は「量+使い方」で伸ばす|家庭でできる定着テクニック

漢字・語彙

「ことわざドリルも語彙集もやったのに、テストの記述になると途端に手が止まる……」そんなお子さんに「どうして?」と感じたことはありませんか?

実は、国語が得意な子と苦手な子の差は、知っている言葉の「量」だけではなく、知っている言葉を自分の道具として使えるかというところにもあります。

どれだけ高価な絵の具を揃えても、キャンバスに塗る練習をしなければ絵が描けないのと同じ。言葉も、頭に溜め込むだけではテストで使えるようにはなりません。

そこで今回は、知っているだけの「眠っている知識」を、テストや作文でサッと使える「活きた言葉」に変える家庭学習のコツをお話しします。

今日から夕飯の会話でも試せる実践的なテクニックばかりですので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!

言葉をたくさん知っているのに、なぜか国語の点数が伸びない子の共通点

教室でたくさんの生徒を見ていると、「言葉の知識テスト」なら満点近く取れるのに、読解テストの記述や選択肢になるとガクッと点数が落ちてしまう子がいます。

「マンガで覚える語彙集」も大好きでよく読んでいるし、言葉の意味を聞けば「〇〇っていう意味でしょ?」と即答できる。

それなのに、いざ「自分の言葉で説明しなさい」となると急にペンが止まったり、的外れな回答を書いてしまったりするんですよね。

「本も読んで言葉も知っているのに、なんでなの!?」と頭を抱えたくなりますが、その理由のひとつとして考えられるのが、「分かる言葉」と「自分で使える言葉」の差です。

受動語彙(じゅどうごい)
文章で見たり聞いたりしたときに、「あ、意味わかるよ」と理解できる言葉

能動語彙(のうどうごい)
自分の会話や作文、テストの解答で「自分の道具」として取り出して使える言葉

言葉をたくさん知っているのに点数につながりにくい子は、頭の引き出しに「受動語彙」はたくさん入っていても、それを必要なときに取り出すところまで十分に練習できていないことがあります。

ドリルを解いて「へぇ〜、こういう意味なんだ」と納得した瞬間、親も子も「覚えた!」と安心しがちですよね。

でも、それはスマホに辞書アプリをダウンロードしたようなもの。アプリを持っているだけで、まだ使いこなせてはいない状態なんです。

たとえば、物語文にこんな一文が出てきたとします。

「ぼくは、しぶしぶ席を立った。」

「しぶしぶ」の意味をなんとなく覚えているだけなら、「席を立った」という行動は分かっても、そのときの人物の気持ちまで具体的にイメージできないかもしれません。

でも、普段から「宿題やりなさいって言われて、しぶしぶ机に向かった」のように自分でも使ったことがあればどうでしょう。

「しぶしぶ」という言葉を見た瞬間に、「本当はやりたくないけれど、仕方なくやっているんだな」という人物の気持ちまで捉えやすくなります。

意味が分かる
↓
場面が浮かぶ
↓
自分でも使える

ここまでつながってくると、言葉は単なる「知識」から、文章を読み書きするための「道具」に変わっていきます。

だからこそ、「うちの子、言葉のドリルをやっているのに……」と感じたら、チェックするポイントを少し変えてみてください。

「いくつ難しい言葉を暗記した?」ではなく、
「その言葉、自分で使えてるかな?」

この視点を持つことが、「知っている言葉」を本当に使える語彙へ育てる第一歩です。

【元国語教師が解説】語彙には「2つのレベル」がある!「知っている」から「使える」への壁

知っている言葉の数を増やすこと自体は、もちろん大切です。

ただ、そこで終わるのではなく、頭の中に蓄えた「分かる言葉」を、作文やテストでも使える言葉へ育てていくことがポイントです。

この2つの間にある壁をどうやって越えていくのか、もう少し具体的に見ていきましょう。

レベル1:「見れば意味が分かる」レベル(インプット)

レベル1は、「文章で見れば、なんとなく意味が理解できる」という状態です。

たとえば、「あぜんとする」という言葉。

語彙ドリルで「予想していなかった出来事に驚き、言葉を失う様子」と覚えていれば、選択問題や穴埋め問題で正解を選べるかもしれません。

でも、「『あぜんとする』を使って短い文を作ってみて?」と頼むと、急に手が止まってしまう。

「満足」

「慎重」

「工夫」

こうした言葉も、文章に出てくれば「ああ、だいたいこういう意味ね」と分かる。でも、自分で使おうとすると出てこないことがあります。

まだその言葉が「借り物」で、自分の生活や経験と十分につながっていない状態なんですね。

国語の授業でも、「この言葉の意味を知っている人ー?」と聞くと、たくさんの手が挙がります。

でも、続けて「じゃあ、この言葉を自分の生活で使ったことがある人ー?」と聞くと、手の数がグッと減ることがあります。

「意味が分かる言葉ボックス」には入っている。
でも、「自分で使える言葉ボックス」にはまだ届いていない。

これが、「知っているのに使えない」という状態です。

レベル2:「自分の会話や文章で自然に使える」レベル(アウトプット)

レベル2は、「自分の感情や体験とセットで、自然に言葉を取り出せる」という状態です。

たとえば「あぜんとする」なら、

「友だちの思いがけない行動に、みんなあぜんとしていた」

のように、具体的な場面と一緒に使える状態。

「夢中」なら、単に「集中すること」と説明するだけではなく、

「弟はゲームに夢中で、私が呼んでも全然気づかなかった」

と、自分の体験に置き換えられる状態です。

ここまでくると、その言葉はかなり「自分の道具」になっています。

だから作文でも、

Before
「ゲームをして楽しかったです」

After
「時間を忘れるくらいゲームに夢中になりました」

と、自分の気持ちをより具体的に表現できるようになります。

語彙力を伸ばす=難しい言葉をひたすら暗記する
ではありません。

頭の中に入れた言葉を、必要な場面で取り出して使えるようにしていくことも大切です。

そして、この「使う練習」は、特別なドリルや塾がなくてもできます。毎日の家庭でのちょっとした会話が、絶好の練習場所になりますよ。

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言葉を「自分の道具」にする!家庭でできる3つの語彙定着テクニック

「受動語彙を能動語彙に変える」なんて言うと難しそうですが、わざわざ新しいドリルを買い足す必要はありません。

言葉はノートの上だけで覚えるよりも、「あ、この言葉ってこんなときに使うんだ!」という実生活の体験とセットにしてみましょう。

親の負担が少なく、今日から家庭でサクッと試せる方法を3つ紹介します。

① 覚えた言葉は「その日の夕食で1回使ってみる」

学校やドリルで新しい言葉に出会ったら、その日のうちに家庭の会話で「1回だけ」使ってみる。

やることは、本当にこれだけです!

たとえば、お子さんがドリルで「夢中(むちゅう)」という言葉を覚えたとします。

ここで「夢中ってどういう意味?」とテストのように問いただすのではなく、親のほうからサラッと会話に混ぜてみます。

親:「ねえ、今日学校で一番“夢中”になったことって何だった?」

子:「休み時間にドッジボールに夢中になった!」

これだけでOKです。

「夢中=何かに心を奪われて集中すること」と説明だけで覚えるより、「今日ドッジボールをしていた自分=夢中」と自分の体験に結びつきます。

「ノートに例文も書かせなきゃ!」「あと3回使わせなきゃ!」なんて欲張る必要はありません。

1日1語、1回だけ。

いつもの「今日学校どうだった?」を、「今日、一番夢中になったことは?」にちょっと変えるだけ。これなら夕飯の席でも気軽に始められますよ。

② 「どういう意味?」と聞かれたら、「知っていること→意味→使ってみる」の3段階

子どもから「ママ、『慎重(しんちょう)』ってどういう意味?」と聞かれたとき、すぐに答えを教えて終わっていませんか?

そんなときは、次の3段階を試してみてください。

STEP 1|知っていることを聞く
「どんな場面で出てきた?どんな意味だと思う?」

STEP 2|意味を補う
「失敗しないように、よく考えたり気をつけたりしながらやることだね」

STEP 3|自分で使ってみる
「じゃあ、今日“慎重”にやったことって何かあった?」

最初は、「なんか……ゆっくりやる感じ?」くらいでも十分です。

その上で正しい意味を確認して、最後に自分の生活と結びつけます。

「コップいっぱいにジュースを入れたとき、こぼさないように慎重に運んだ!」

こんな答えが出てきたらバッチリです。

もちろん、辞書で正確な意味を確認することも大切です。ただ、意味を書き写して終了にするのではなく、「自分だったら、どんな場面で使う?」までつなげてみてください。

③ 「反対の言葉」「似た言葉」をセットでつなげる

新しい言葉に出会ったら、ひとつだけポツンと覚えるのではなく、「言葉の仲間探し」をしてみるのもおすすめです。

増加 ↔ 減少

積極的 ↔ 消極的

うれしい → 喜ぶ・満足する・ほっとする

ここで大切なのは、難しい類義語をたくさん暗記させることではありません。

親:「『大きい』の反対は〜?」

子:「小さい!」

親:「じゃあ『うれしい』に似た言葉、何かある?」

子:「楽しい!」

親:「いいね!『ほっとした』も近いときがあるね」

このくらいのゲーム感覚で十分です。

こうして言葉同士をつなげていくと、頭の中の言葉が「点」ではなく「ネットワーク」になっていきます。

作文を書くときにも、いつも「楽しかった」で終わるのではなく、

✓ 「時間を忘れて夢中になった」

✓ 「最後までやりきって満足した」

✓ 「無事に終わってほっとした」

といった選択肢から、「今の自分の気持ちに一番近いのはどれかな?」と考えられるようになります。

今日のお風呂タイムや車での移動中に、ゲーム感覚で「反対ことばクイズ」から始めてみるのもおすすめですよ。

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語彙力を伸ばそうとして親がやってしまいがちなNGな関わり方

子どものためを思うほど、「もっと難しい本を読ませなきゃ」「正しい言葉遣いを教えなきゃ」と力が入ってしまいがちですよね。

でも、良かれと思ってやっていることが、かえって子どもの「言葉を使ってみよう」という気持ちを小さくしてしまうこともあります。

家庭で特に気をつけたい2つのポイントを見てみましょう。

難しい本や言葉を無理に暗記させる

「もう高学年なんだから、そろそろ難しい本を読ませなきゃ」「手っ取り早く語彙集を丸暗記させよう!」

わが子の国語力を伸ばしたいと思うほど、つい背伸びした教材を選びたくなりますよね。

でも、自分の生活や実感とかけ離れた言葉をいくつも覚えても、子どもにとっては使う場面がイメージしにくいもの。

「難しい言葉を知っている」=「語彙力が高い」
とは限りません。

意味がよく分からない言葉を10個丸暗記するよりも、今のお子さんの生活の中で出会った言葉を1つ、自分で使えるところまで持っていく。

まずは、そこからで十分です。

間違った使い方をしたときに、その場で強く否定する

お子さんが新しく覚えた言葉を使って、

「今日の給食、慎重だった!」

なんて言ってきたとします。

明らかに使い方が違いますよね。

でも、ここで「違う違う!『慎重』はそういう意味じゃないでしょ!」と強く否定してしまうのは、ちょっともったいないんです。

なぜなら、その瞬間の子どもは「新しく覚えた言葉を、自分で使ってみよう」としているから。

そんなときは、まずチャレンジしたことを受け止めてから、正しい使い方へつなげてみます。

① まず受け止める
「おっ、『慎重』使ってみたね!」

② 正しい場面を伝える
「慎重って、失敗しないように気をつけてやるときに使うことが多いよ」

③ もう一度チャンス
「今日、何か慎重にやったことあった?」

そこで「あ、図工でカッターを使ったとき!」と返ってきたら、「それそれ!」でOKです。

「使ってみる → ちょっとズレる → サラッと直す → もう一度使う」
この繰り返しで、少しずつ「使える言葉」に育っていきます。

間違えないことよりも、間違いを怖がらず「この言葉、使ってみようかな」と思える雰囲気を作ってあげたいですね。

まとめ:「使える言葉」が増えると、読む・書く・話す力につながっていく

言葉の勉強というと、どうしても「ドリルを何ページもこなす」「暗記カードをめくる」といった机の上の学習をイメージしがちですよね。

もちろん、知っている言葉の「量」を増やすことも大切です。

でも、それと同じくらい大切にしたいのが、知っている言葉を、自分で取り出して使えるようにすること。

ドリルで丸暗記した10個の「使えない言葉」より、毎日の会話で使いこなせるようになった1個の「生きている言葉」のほうが、お子さんの読解力や記述力を根っこから支えてくれます。

難しく考えすぎる必要は全くありません。

まずは今日の夕飯で、学校や本で覚えた言葉をひとつだけ使ってみる。それくらいのゆるさで十分です。

「知っている言葉」を
「自分で使える言葉」へ。

ぜひ今日から、親子でゆるく「言葉あそび」を楽しんでみてくださいね!

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