「算数はドリルでいいけど、国語って何をさせればいいの?」
「本は好きなのに、なぜかテストの点数が伸びない……」
国語の家庭学習って、何から始めればいいのか分かりにくいですよね。
でも、元国語教師としてお伝えしたいのは、国語は決して「センス任せ」の教科ではないということです。
大切なのは、いきなり難しい読解問題を解かせることではありません。
国語力は、土台から順番に
語彙力 → 音読 → 読解力 → 記述・作文
と積み上げていくのがポイントです。
この記事では、家庭で迷わず取り組める「国語学習の4つのステップ」と、学年ごとの優先ポイントをご紹介します。
「うちの子、どこでつまずいているんだろう?」を一緒に整理していきましょう。
なぜ「国語の勉強法は難しい」と感じてしまうのか?
まずは、なぜこれほど国語の勉強法に悩みやすいのかを考えてみましょう。
大きく分けると、理由は3つあります。ここを理解しておくだけで、お子さんへの向き合い方がぐっとラクになりますよ。
① 算数と違って「解き方の公式」が見えにくいから
算数なら「公式を使って計算する」、社会なら「用語を覚える」といった明確な勉強法があり、正解・不正解もハッキリしています。
一方、国語では、
- 「登場人物の気持ちを答えなさい」
- 「その理由を説明しなさい」
- 「筆者の考えを答えなさい」
と、毎回違うことを聞かれているように見えます。
そのため、「国語って結局、文章のセンスがある子が得意なのかな」と思われがちです。
でも、国語にも「読み方のルール」があります。
・「しかし」の後には、それまでとは違う内容が出てくる
・「なぜですか」なら、本文から理由や原因を探す
・気持ちを答えるときは、その前後の行動や会話を手がかりにする
私は授業でも、よくこんなふうに伝えていました。
この考え方を知らないまま問題集だけを解き続けると、「なんとなくこれかな?」で答えるクセがついてしまいます。
② 日本語が話せるからこそ「言葉の抜け漏れ」に気づきにくいから
子どもは毎日、当たり前に日本語を話しています。
だから親としても、
と思ってしまいやすいんですよね。
でも、日常会話で使う言葉と、教科書や問題文で使われる言葉は違います。
「確かめる」
「比べる」
「共通する」
「理由」
「結果」
こうした言葉の意味がぼんやりしていると、本文以前に「問題で何を聞かれているのか」が理解できません。
「読めているのに解けない」の正体は…
読解力ではなく、言葉の意味が分からず止まっていることもあります。
言葉という土台がぐらついた状態で、その上に読解力や記述力を積み上げようとしても、なかなかうまくいきません。
③ 「とにかく本を読みなさい」で終わってしまうから
国語が苦手だと、つい、
「もっと本を読みなさい!」
と言いたくなりますよね。
もちろん、読書は語彙や知識を増やしたり、いろいろな文章に触れたりするうえで、とても良い習慣です。
ただ、「読書量=テストの点数」ではありません。
国語でつまずく理由は、人によって違います。
- 言葉の意味が分からない
- 文章をうまく区切って読めない
- 答えを本文のどこから探せばいいか分からない
- 分かっていても文章にして書けない
だからこそ、「とにかく読む」より先に、わが子がどこで止まっているのかを見極めることが解決への一番の近道です。
家庭で迷わない!小学生の「国語の勉強法」4つのステップ
国語の勉強で迷ったときは、まず「どの問題集を買うか」ではなく、どの順番で力を育てるかを考えてみましょう。
まずは「うちの子、どこで引っかかっているかな?」と確認しながら進めてみてください。
ステップ1【語彙力】:すべての土台!「言葉の引き出し」を増やす
家を建てるときでたとえるなら、語彙は「材料」のようなもの。
文章に出てくる言葉の意味が分からなければ、どれだけ読み方のテクニックを知っていても、内容は頭に入りません。
たとえば、こんな文章。
「太郎は少し戸惑いながらも、友達の申し出を受け入れた。」
もし、
「申し出」
「受け入れる」
の意味があいまいなら、太郎の気持ちも場面もぼんやりしてしまいます。
ここが最初の一歩です。
・「あれ取って」ではなく「食卓の上のしょうゆ取って」と具体的に言う
・子どもの「やばい」「すごい」に「悔しかったんやな」「びっくりしたね」と言葉を足す
・「辞書引きなさい!」だけで終わらず、「どんな意味やと思う?」と一緒に考える
語彙力は算数の文章題や理科・社会にも直結する一生モノの土台です。焦らずじっくり育てていきましょう。
ステップ2【音読】:文章を正しい区切りで読む「インプット力」をつける
言葉の意味が分かってきたら、次は文章を正しく読む練習です。
音読の宿題、夕飯を作りながら、
と聞き流して、サインだけして終わる日もありますよね。わが家でもあります。
でも、音読で本当に見たいのは、「声を出したか」ではありません。
ここがポイントです。
「ぼくは/昨日/公園で/友達と/サッカーをしました」
のように、意味のまとまりで読めているかを見てみましょう。
① 句読点や意味のまとまりで区切れている
② 助詞や文末を飛ばしたり、勝手に変えたりしていない
③ 読み終わったあと、何の話だったか簡単に言える
おすすめなのが、読み終わったあとに、
と聞いてみること。
「犬の話!」「主人公が失敗した話!」くらいでOKです。
読んだ内容を一度自分の言葉にすると、音読が「文字を声にする作業」から「最高の読解トレーニング」に変わっていきます。
ステップ3【読解力】:文章の中から「答えの証拠」を探す
語彙と音読の土台ができてきたら、次はいよいよ読解問題です。
ここで一番避けたいのが、
「うーん、なんとなくこれかな?」
という感覚だけで答えること。
たとえば、
問題:「主人公は、なぜ悲しい気持ちになったのでしょう。」
本文:「友達が来月、遠くの町へ引っ越すことを知った。」
なら、答えの根拠は「友達が引っ越すと知ったこと」です。
と考えると分かりやすくなります。
・正解でも不正解でも「どこを見てそう思った?」と聞く
・「しかし」「だから」「つまり」など、文章の流れを示す言葉に注目する
「本文のここに〇〇と書いてあるから」と言えるようになってくると、「なんとなく読み」から少しずつ卒業できます。
ステップ4【記述・作文】:話した言葉を整理する「アウトプット力」
最後は、自分の考えを文章にする「記述・作文」です。
「分かっているはずなのに、解答欄になると何も書けない」
そんな子も多いですよね。
これは、文章を書く力がゼロなのではなく、頭の中にあることを整理して、文章に変えるところで止まっていることがあります。
そこで、いきなり書かせるのではなく、まずは口で答えてもらいます。
① 口で言う
「主人公はどんな気持ち?」
→「悲しい気持ち」
② 理由を聞く
「なんで悲しいの?」
→「友達が転校するから」
③ つなげる
→「友達が転校してしまうので、悲しい気持ちになった。」
「書けない」ときほど、書く前にしゃべらせてあげる。
これだけでも、記述へのハードルが下がります。
【学年別】いま優先して取り組むべき勉強のポイント
4つのステップが分かっても、「うちの子の学年なら何を優先すればいい?」と迷いますよね。
同じ小学生でも、1年生と6年生では必要なサポートが変わります。
あくまで目安ですが、家庭学習で迷ったときの参考にしてみてください。
低学年(1・2年生):まずは「言葉を楽しむ」ことと音読
低学年では、文字を読むこと自体にまだかなりのエネルギーを使います。
そこへいきなり、
「筆者の言いたいことは?」
と難しい問いを重ねると、読むだけで疲れてしまう子もいます。
低学年でおすすめ
・親子で教科書を音読する
・しりとり、なぞなぞ、言葉集め
・絵本の読み聞かせ
・知らない言葉を日常の例で説明する
「“赤いもの”何個言える?」のような遊びでも十分です。
中学年(3~4年生):「イメージ読み」から「文章の構造」を見る読み方へ
3~4年生になると、教科書の文章も長くなり、説明文や抽象的な言葉も増えてきます。
低学年までは「何となく場面を想像する」で読めていた子も、少しずつ文章そのものの仕組みを見る必要が出てきます。
・段落ごとに「何の話だった?」と短くまとめる
・「最初→途中→最後」の流れを確認する
・「しかし」「だから」「つまり」などの接続詞に注目する
接続詞は、文章の流れを教えてくれる「標識」のようなもの。
長い文章でも、どこで話が変わったのかが見えるようになります。
高学年(5~6年生):本文から「答えの証拠」を探す論理的思考
高学年になると、「本文をもとに説明しなさい」という問題が増えてきます。
ここで意識したいのが、「自分がそう思った」だけで終わらせないことです。
子:「主人公は寂しかったと思う」
親:「うん。どこを読んでそう思った?」
子:「友達が帰ったあと、一人で窓の外を見てたから」
この最後の「~だから」が、答えの根拠です。
をセットで考える習慣をつけていきましょう。
この考え方は、国語だけでなく、理科や社会で理由を説明するときにも役立ちます。
家庭でやりがち!国語力が伸びにくい「NG勉強法」3選
一生懸命勉強しているのに、なかなか手応えがない。
そんなときは、勉強量を増やす前に「やり方」を見直してみるのもひとつです。
① 問題集をひたすら解かせる
「国語が苦手だから、毎日読解問題を1ページ!」
一見、よさそうに見えますよね。
でも、
↓
丸つけをする
↓
間違えた答えを書き直す
↓
次のページへ
だけになっているなら、少しもったいないです。
間違えたら、「どこにヒントがあった?」と一緒に本文へ戻る。1問だけでも丁寧に振り返ってみましょう。
何ページ解いたかより、1問から読み方を学べたかのほうが大切です。
② テスト直しを「答えの書き写し」で終わらせる
学校のテストが返ってきたとき、模範解答を赤ペンで写して終了。
これも、よくありますよね。
でも国語のテスト直しで本当に知りたいのは、正解だけではありません。
「なぜ間違えた?」を見てみよう
・問題文の意味を取り違えた?
・本文の違う場所を見ていた?
・「理由」を聞かれているのに「気持ち」を答えた?
答えを書き写す前に、「この答えになるヒント、本文のどこにあった?」と聞いてみましょう。
「次はどこを見ればいいか」が分かる振り返りにすると、同じタイプの問題に取り組むときに生かしやすくなります。
③ 「国語が苦手なら本を読みなさい!」と無理に読書させる
読書が苦手な子に、
と言っても、「苦手なものをもっとやって」と言われているように感じてしまうことがあります。
もちろん、読書そのものはとても良い習慣です。
ただ、「テスト対策」として嫌がる子に無理強いする必要はありません。
・図鑑でもOK
・学習漫画でもOK
・好きな生き物やスポーツの本でもOK
・まずは教科書の音読だけでもOK
「何冊読んだか」より、「これ面白かった!」と思える経験を大事にしたいですね。
迷ったらここをチェック!わが子はどのステップで止まってる?
「いろいろ分かったけど、結局うちは何から始めればいいの?」
そう迷ったら、次の4つをチェックしてみてください。
CASE 1
知らない言葉が多くて、文章が頭に入らない
→ ステップ1「語彙力」から
教科書や問題文を読んでいるときに「これどういう意味?」「〇〇って何?」と何度も聞いてきたり、単語の意味を勘違いしてトンチンカンな読み間違いをしているなら、まずは言葉の引き出しを増やすのが最優先です。
普段の会話で「あれ・それ」を減らして具体的な言葉で話しかけたり、子どもが「ヤバかった」と言ったら「どうヤバかった?悔しかった?びっくりした?」と別の表現に言い換えて返してあげることから始めてみましょう。
CASE 2
文章を読むと詰まる・助詞を飛ばす・勝手に読み替える
→ ステップ2「音読」から
「ぼくは/きょう/こうえんで」と区切れず、「ぼくはきのうこうえんで…」と文字を追うだけで精一杯なら、まだ文章の意味が頭に届いていません。文字を読むこと自体に脳のエネルギーを使い果たしている状態です。
まずは親が隣に座り、一緒に教科書を指で追いながら声を合わせて読んでみましょう。スムーズに読めるようになり、読んだ直後に「今の一言で言うと何の話だった?」と聞いて「犬の話!」とサッと答えられるようになれば合格です。
CASE 3
文章はスラスラ読めるのに、テストになると間違える
→ ステップ3「読解力」から
音読は上手なのに問題集を開くと手が止まる、あるいは適当な勘で答えてバツばかり…という子は、自分の「お気持ちや想像」で答えてしまっている可能性大です。
問題を解いたら正解・不正解に関わらず、「この答えになるヒント、本文のどこに書いてあった?指でさしてみて!」と一緒に本文に戻るクセをつけましょう。テストは自分の感想を書く場ではなく、本文から証拠を探す宝探しゲームだと気づかせることがポイントです。
CASE 4
口では答えられるのに、解答欄になると固まる
→ ステップ4「記述・作文」から
「主人公はどんな気持ちだったと思う?」と聞くと「悲しかった!友達が遠くに行っちゃうから!」と口ではカンペキに言えるのに、解答欄には一文字も書けない…という子は、頭の中の整理が追いついていません。
いきなりマス目に書かせようとせず、まずは子どもが口で言った言葉を親がメモしてあげてください。「『友達が遠くに行ってしまうので、悲しい気持ち』って書けばバッチリだよ!」と整理して見せてあげるだけで、書くことへの苦手意識はスーッと消えていきます。
まずは「今どこで引っかかっているか」を1つ見つけるだけで十分です。
まとめ:国語力は毎日の小さなステップで育っていく
「国語の勉「国語って何を勉強させればいいの?」と悩んでいた方も、やるべきことの順番が見えてきたのではないでしょうか。
国語はセンスや才能ではなく、正しくステップを踏めば誰でも伸ばせる科目です。言葉を知り、文章を正しく読み、本文から証拠を探し、自分の言葉で伝える。この4つはすべて繋がっています。
だからこそ、急に難しそうな問題集を何ページも解かせる必要はありません。今日は音読を横でじっくり聞いてあげる、夕飯のときに「今日何が一番びっくりした?」と話しかけてみる。そんな毎日の小さな積み重ねだけで十分です。
国語が苦手な子ほど、
「もっとやらせなきゃ!」ではなく、
「どこで止まってるんだろう?」と一緒に探してみる。
まずは今日、お子さんが4つのステップのどこにいるのか、そっと見てみてください。
そこが、その子に合った国語の勉強のスタート地点です。

コメント